保育士ノウハウ

保育士試験の受験資格とは?「実務経験」を積む方法を徹底解説

     

    国家試験である保育士試験には受験資格があり、資格を満たしていなければ受験することができません。保育士資格を持っていない場合でも、保育補助として保育に携わることはできるのですが、しっかりと働くのであれば資格を持っていた方が断然有利です。

    今回はこれから保育士資格取得を目指す方に向けて、保育士試験を受験するのにどのような資格が必要なのかを解説します。また受験資格に含まれる場合がある実務経験についても解説しますので、受験を考えている方はしっかり確認してください。

    保育士資格の取得方法や勉強方法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

    保育士資格とは?取得方法や勉強方法をご紹介

    最終学歴別!保育士資格の受験資格

    それではさっそく保育士資格の受験資格を紹介していきます。保育士試験の受験資格は最終学歴によって異なるため、該当する最終学歴を確認してください。

    大卒・短大卒の場合

    大卒・短大卒の場合は保育士と関係がない学部を卒業している場合でも、保育士試験の受験資格があります。ただ卒業した大学や短大が「教育基本法に基づいて、学校制度の基本を定めた法律」である学校教育法に基づいた学校である必要があります。卒業した学校が学校教育法に基づいているのかどうかは、学校に直接確認が必要です。

    大学・短大に在学中もしくは中退の場合

    大学もしくは短大に在学中の場合、2年以上在学して62単位以上取得しているのであれば、保育に関係のない学部の場合でも保育士試験を受験する資格があります。
    また現在在学中の場合、大学・短大ともに受験資格が与えられます。ただ大学在学中で年度中に2年以上在学もしくは62単位以上の取得が満たせなかった場合、短大在学中で年度中の卒業ができなかった場合は、試験に合格しても無効となりますので注意が必要です。
    大学中退の場合も2年以上在学し、62単位以上取得しているのであれば同様に受験資格が与えられます。短大を中退した場合は受験資格は与えられません。
    いずれの場合も学校教育法に基づいた学校である必要があります。

    専門学校卒の場合

    専門学校を卒業している場合、次のうちいずれかの条件を満たしていれば、保育士と関係ない学部でも受験資格が与えられます。まず一つ目は、卒業した専門学校が学校教育法に基づいた専門学校であることです。もう一つは卒業した課程が修業年限2年以上の専修過程であることです。
    ただこの二つの条件のどちらも満たしていない場合でも、平成3年3月31日以前に高校を卒業していれば受験資格が与えられます。また高校で保育科を選択していた場合は、平成8年3月31日以前に卒業していれば、同様に受験資格が与えられます。

    専門学校在学中の場合

    専門学校に在学している場合も条件を満たしていれば受験資格が与えられます。条件は卒業した専門学校が学校教育法に基づいた専門学校に通っている、もしくは在学している課程が修業年限2年以上の専修過程であることです。
    またこれらの条件を満たしていない場合でも、平成3年3月31日以前に高校を卒業していれば受験資格があります。高校で保育科を選択していたのであれば、平成8年3月31日以前に卒業の場合、同様に受験資格が与えられます。

    高卒の場合

    最終学歴が高卒の場合、平成3年3月31日以前に高校を卒業していれば保育士試験の受験資格が与えられます。また保育科を平成8年3月31日以前に卒業したのであれば受験資格が与えられますので、保育士試験に挑戦することが可能です。
    このどちらにも該当しない場合は、児童福祉施設などで児童の保護・援護に2年以上かつ2880時間以上従事していたのであれば、実務経験が認められ保育士試験の受験資格が与えられます。

    中卒の場合

    最終学歴が中卒の場合、児童福祉施設などで児童の保護・援護に5年以上かつ7200時間以上従事していた経験があるのであれば、保育士試験を受験する資格が与えられます。

    海外の学校を卒業した場合

    最終学歴が海外の学校の場合、日本の教育制度とは異なる制度で学んでいるため、保育士試験事務センターに申請する必要があります。指定の事前確認書類に記入のうえ、審査の申請をしましょう。申請は通常書類提出から2~3週間かかります。ただそれ以上かかってしまうこともありますので、受験を検討しているのであれば早めに申請しておいてください。

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    受験資格に該当する実務経験とは?

    最終学歴が中卒で児童の保護・援護に5年以上かつ7200時間以上の実務経験がある場合と、高卒、短大卒、大卒(中退を含む)で児童の保護・援護に2年以上かつ2880時間以上の実務経験がある場合、指定された施設で実務経験を積んでいれば受験資格に該当します。

    実務経験として認められる施設

    実務経験として認められる施設は、児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設となっています。具体的な施設は以下の通りです。


    保育所
    保育所型認定こども園
    幼保連携型認定こども園
    児童厚生施設
    児童養護施設
    助産施設
    乳児院
    母子生活支援施設
    障害児入所施設
    児童発達支援センター
    児童心理治療施設
    児童自立支援施設
    児童家庭支援センター


    これらの施設で所定の期間および勤務時間の条件を満たしていれば、保育士試験を受験することができます。

    受験資格認定基準に該当する施設

    実務経験として認められる施設での実務経験はない場合でも受験を諦める必要はありません。受験資格認定基準に該当する施設で実務経験を積んでいる場合、受験したい都道府県知事に受験資格認定の申請を行い、認定が降りれば受験できます。受験資格認定基準に該当する施設は下記の通りです。


    認定こども園
    幼稚園
    家庭的保育事業
    小規模保育事業
    居宅訪問型保育事業
    事業所内保育事業
    放課後児童健全育成事業
    一時預かり事業
    離島その他の地域において特例保育を実施する施設
    小規模住居型児童養育事業
    障害児通所支援事業(保育所訪問支援事業を除く)
    一時保護施設
    18歳未満の者が半数以上入所する施設


    これらの施設で所定の期間および勤務時間の条件を満たしていれば、受験資格認定の申請が可能です。この申請を受けるには、受験資格認定申請書を提出する必要があります。高卒の場合は高校の卒業証明書と勤務証明書、中卒の場合は勤務証明書のみ提出が必要です。申請の仕方や手数料は都道府県ごとに異なりますので、事前に確認しておきましょう。

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    保育士としての実務経験の積み方は?

    保育士として実務経験を積むには、まず保育の現場で働くことが必要です。保育士は国家資格ですが、資格がない場合でも保育補助として保育に携わることができます。保育補助はその名の通り保育士の補助として、子供の保育を行う人のことです。保育補助も立派な実務経験として認められますので、実務経験を積むのであれば保育補助として働くことを目指しましょう。

    ただ先ほど説明した通り、保育に携わる仕事でも実務経験として認められる施設と、認定が必要な施設に分けられます。確実に実務経験を積んで保育士試験を受験するのであれば、実務経験として認められる施設を選ぶ方がベターです。

    全ての保育施設が保育補助の求人を出しているわけではありません。求人を探す場合、近隣もしくは生活圏でアクセスしやすい施設から探す方が多いでしょう。欠員が出た場合に急に求人が出ることもありますので、最初に探したときに見つからなくても根気強く探しましょう。すぐにでも働きたい場合は、少し遠方のエリアまで範囲を広げてみるのも一つの方法です。遠方といっても、無理なく通勤できる範囲で探すことをおすすめします。
    また求人を探すときは、施設が保育補助に対するサポートを行っているかどうかをチェックしましょう。保育施設のなかには、福利厚生の一環として資格取得支援を行っているような施設もあります。資格取得支援の内容は施設によって異なりますが、サポートがあれば何らかのメリットがありますから、必ず確認するようにしてください。資格取得支援の内容の例としては、保育士資格の受験料などの一部負担などがあります。
    資格取得支援がない場合でも、面接の際には将来的に保育士資格を取得したい旨を伝えましょう。

    伝えておけば受験に合わせてシフト等を調整してもらいやすかったり、勉強のコツを教えてもらったりということもあります。保育士資格の取得を目指していることは意欲として受け取ってもらえますので、面接でも有利に働くでしょう。

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    保育士としての実務経験を積む施設の探し方

    保育士として実務経験を積むための施設を探す場合は、保育士専門の求人サイトを利用するのがおすすめです。保育士専門の求人サイトの場合、「保育補助」に絞って求人検索をかけることができることが多いので、求人が見つけやすくなります。
    また最初は、実務経験として認められる児童福祉法第7条に基づく児童福祉施設から探してみましょう。必ずしも実務経験として認められる施設で求人が出ているわけではありませんが、後々のことを考えるとこちらの方が有利です。確実な実務経験を積みたいのであれば、期間を決めて該当する求人が出るまで粘ってみましょう。

    保育補助は保育士を補助することがメインとなりますので、非常勤としての求人が圧倒的に多いです。正職員としての募集がないわけではありませんが、正職員の求人数は少なく、求人が出たとしても応募が集中します。
    ただ非常勤と言っても働きかたは様々です。施設によってはフルタイムの非常勤を募集していることもありますし、午前のみ・午後のみなどの求人もあります。まずは保育士専門の求人サイトでエリアを絞って求人を検索し、募集内容をしっかり見比べてみてください。
    どんなペースで実務経験を積みたいかは人それぞれですから、自分に合ったペースで働ける施設を選びましょう。できるだけ早く実務経験の条件を満たしたい場合は、週5日・フルタイム勤務の条件で探すことをおすすめします。

    保育補助について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

    保育補助とは?仕事内容や雇用形態・給料事情など詳しく紹介

    ヒトシア保育では、保育補助の求人を多数保有しています。保育補助として働きたい方に向けて、希望に合った求人をご紹介することが可能です。

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    高卒なら専門学校に通うことも一つの方法

    最終学歴が高卒の社会人で、なかなか実務経験を積める求人に出会えない場合は、専門学校に通うというのも一つの方法です。厚生労働省が指定する専門学校に通えば、保育士試験を受けることなく保育士資格を取得することができます。
    2年以上・2800時間以上の実務経験を積むには条件がいい求人に出会えなければ、長い期間を要してしまうことがあります。

    また実務経験を積みながらも試験勉強をし、受験に備えることになるので、負担も大きいです。しかし厚生労働省指定の専門学校なら、2年という期間で確実に保育士資格を取得することができます。
    指定専門学校の中には社会人向けの夜間コースを設定している学校もあります。夜間コースであれば仕事をしながら学校に通うことができますので、経済的に不安だという場合でも安心です。

    まずは自分に受験資格があるかどうかを確認しよう

    保育士資格がなくても保育施設で働くことはできますが、資格があれば正社員として雇用される可能性が高くなったり、給与面でも優遇される可能性があったりと、様々なメリットがあります。

    保育士資格の取得を目指すのであれば、まずはご自身に受験資格が現時点であるかどうかを確認してみてください。現時点でない場合は、保育補助の求人を探し実務経験を積むか、厚生労働省指定の専門学校で保育士資格の取得を目指しましょう。保育補助の求人を探す際は、保育士に特化した求人サイトを利用するのがおすすめです。お住まいのエリアや通勤可能エリアに絞って、ご自身に合った働き方ができる保育施設を見つけましょう。

    2025/01/17